【桁違いに優しくなれるお話】

生まれながらに脳性麻痺で身体に障がいがある竹下さん(31歳)。

宝塚市にある身体障がい者の方の為の仕事場「アイエルセンター」さん(運営:特定非営利活動法人とことこ)に一人暮らしをしながら通勤しています。

今回、エスパスでは「障がいのある方のお話を聞くことで何か学びがあるはず」という意図で、竹下さんに講演を依頼してお話を伺いました。

竹下さんは、小中学校を地元のみんなが行く学校に通い、高校は全寮制の養護学校に進学、その後宝塚市のアイエルセンターに就職しました。

特定非営利活動法人とことこの理事長である河原崎さんにマイクを持ってもらい原稿をめくってもらい、竹下さんはお話ししてくださいました。

竹下さん、中学生の時に「いつかは親元を離れて自立したい」と思ったそうで、
現在は、ご自宅から10分ほど離れた場所で一人暮らしをしています。

竹下さんのご両親は「一人暮らしなんて出来ないよ、夜発作があったらどうするの」と反対したそうです。
やってみて、ご両親は安心したそうですが、親の反対を押し切っても、厳しい道を選択し「自立」をしている竹下さん。

竹下さんの「自立」「自由」という魂の欲求が見えました。

そんな竹下さんに
「現在自立したくない若者が多く、ニートなど社会問題にもなっているが、親として「自立心」を子どもに持ってもらうためにどうしたらいいか」
質問をさせてもらいました。

竹下さん、「僕は子供がいないし偉そうなことは言えないけれど・・・」と付け加えながら大切な考えを教えてくれました。

焦らない。焦ってもいい事がない。
急がば回れ。
その人なりのペースがある。
だから寄り添って待ってあげる。
本人が「やりたい」って言った時に
一緒に具体策を考えていく。

竹下さんの優しい回答に、はっとさせられました。

竹下さんにとっては、小中学校での授業と授業の間の5分間休み、あの時間はとても慌ただしいものだったそうです。

人はそれぞれ、時間の流れが違う。
それを自分の時間軸が「絶対」と思ってみんな知らず知らずに押し付けている。

自分の時間軸でしか物事を捉えないのは優しさが足りないのかもしれません。

「自立心」や「人の役に立ちたい」といった欲求を誰もが持っていると信じ待ってあげることが大切だと思いました。

竹下さんは、自身と同じように障がいを持った方の「ピアカウンセリング」にも取り組んでいます。
同じ悩みを抱えた仲間同士のカウンセリングです。

そこでは自分に自信を取り戻していくこと、「自己信頼の回復」を大切にしているそうです。

「自信を取り戻す」や「自己肯定感を上げる」ことはエスパスでも大切にしている重要なテーマです。

竹下さんに質問しました。
「竹下さんは現在は、ご自身のことを愛して自信があるようにお見受けできますが、どのようにその状態になったんですか?」

すると、竹下さんは「そう言ってもらえると嬉しいですが、・・・」と恥ずかしそうに笑いながら

僕は今でも自信がない。でも

「それでいいやん」「大丈夫やで」って言ってあげる。

やったことを褒めてあげる。

小さなことでも認めてあげる。

竹下さんの優しさが溢れ出しているような言葉に感動しました。

竹下さんが、これまでの人生で乗り越えて来た一つ一つ、

例えば、社会人になった時に一人でバスに乗った時のエピソードなど、

毎日の小さな積み重ねが自信になると気付かされました。

「障がいのある方のお話を聞くことで何か学びがあるはず」

と分からないままに開催した今回の講演会でしたが、想像以上の学びがありました。

このようなご縁をいただいた、宝塚市社会福祉協議会様、特定非営利活動法人とことこ様に心から感謝です。

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この記事を書いた人

ESPACE(エスパス)とはフランス語で「宇宙」や「空間」を意味します。

ESPACEの願いは、この場に集う一人一人が「一隅を照らす」存在となりこの場で得たことを活かし地域や社会の発展に貢献することです。

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